「ヘンリー8世の私生活」

 

 

ついに「リチャード3世」を見て、BBCのドラマシリーズ「ホロウ・クラウン」はすべて見終えた。

話としては手段を選ばない、無理やりの成り上がりぶりで、結果として部下の心が離れてしまい、そこからの転落も速いなという印象だった。

 

 

ドラマはここでお終いになるが、実際の歴史としてはこの後のヘンリー8世からエリザベス女王の時代への繋がりも興味を感じるところ。

シェイクスピアの戯曲「ヘンリー8世」もあるものの、このドラマシリーズで扱われていないくらいなので、あまり評価は良くないらしい(作者の死後に弟子が書き継いだとか)。

ヘンリー8世は奥さんを次々と取り換えて、何人かは殺してしまったそうで、書きようによっては面白くなる筈である。しかも、その後の初代エリザベス女王への橋渡しでもある。

という訳で大昔の白黒映画「ヘンリー8世の私生活」を見てみると、これが喜劇タッチで、暴君というよりは恰幅の良い、我儘な子供のような人物として描かれている。打ち首の場面も、本来なら正視できないほどの残酷さがあるはず、しかしそこも喜劇的で、見物に来る平民夫婦の会話など、遠回しに描かれている。

 

 

可笑しいのは4番目の王妃アンで、新婚初夜にトランプで王様と賭けをしてスッテンテンにしてしまう。史実はまたこれとは別にいろいろな説があって、そっちも面白いのだが、この場面だけでも見た価値があった。

ヘンリー8世の周辺の人物には側近のクロムウェルがいて、こちらを中心に書いた小説があると知った。三部作「ウルフ・ホール」「罪人を召し出せ」「鏡と光」のうち、二作がブッカー賞を受賞ということなので、図書館にあれば読んでみたい。