前回の続きで、いよいよベスト5の発表~!
第五位:「顔のない眼」
「日本語としておかしい」と思われてしまいそうだが、これは意味不明で思わせぶり系列の題名ではない。映画を観れば納得できるタイプで、きちんと「?」が「!」になる仕組みになっている。タイトルがキャッチコピーも兼ねているような、それでいて捻りのある題名は減少傾向にあるように思う。
第四位:「敬語で旅する四人の男」
書店で見かけて、タイトルだけで「あっ」と思った作品である。
どこかよそよそしい、親しくなりきれない感じがよく出ている。
しかし、ぜひとも買って読んでみたいというほどではなく、たまたまこの題名だけセンスが良いのか、今後もこの調子を維持する人なのか、まだよくわからない。
第三位:「先生を流産させる会」
これもタイトルだけで「あっ」と驚いた作品で、実話がベースになっている映画である。
どういう訳かニュースでも映画でも「殺人」にはすっかり慣れてしまって、感覚的に麻痺しているようなところが我々にはある。
しかし「流産」というのは話題にしづらいし、「殺人」よりもずっと生々しい。
さらにこのタイトルは、生徒が自発的にそのような会を作った、というニュアンスが自然に含まれる。
「先生を流産させる会(自発的に生徒がそのような会を作りましたよ……)」
という、(かっこ)の部分が書いてなくても伝わってくる。
この短さで、これほど強烈な印象を与えるタイトルも珍しい。
第二位:「田舎の紳士服店のモデルの妻」
「の」が三回も続くタイトルは避けるべきであろうが「ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲」のように、これでもかと続けて効果をあげるケースもある。
このタイトルの場合は「田舎」「紳士服店」「モデル」をどこか馬鹿にしているような、少し冷めた視線を「妻(=主人公)」という言葉で受け止めているので、嫌味な匂いがなくスッキリまとまっている。
これがもし「田舎の紳士服店のモデルは馬鹿が多い」だったら確実に回収騒ぎになるところだ。
第一位:「好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた 2000」
- アーティスト: 面影ラッキーホール,Acky,萩原健一
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 発売日: 1999/12/22
- メディア: CD
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このアルバムに限らず、面影ラッキーホールは名タイトル揃いで「 ひとり暮らしのホステスが初めて新聞をとった」「俺のせいで甲子園に行けなかった 」「あんなに反対してたお義父さんにビールをつがれて」など、他にも色々ある。
面ラホに限らず、日本でファンク系の音楽をやっている人には独特のユーモアが感じられる。岡村靖幸はもちろん、例えば「在日ファンク」はバンド名も「日本でファンクをやっている」というポジションの本質を突いていていいし、曲名で「爆弾こわい」「才能あるよ」など実にうまいと思う。
タイトルについては、書いている途中であれこれ思い出した話題が多いので、また別の機会に書いておきたい。ベスト10も「番組のタイトル編」とか「曲名編」「二文字編」なども考えられそうである。皆さんも暇つぶしに電車の中や車の渋滞時などに考えてみてはいかがか。