最近、アマゾンからお勧めされているのが「へたジャズ! 昭和戦前インチキバンド 1929-1940」である。
視聴してみると、聴くのが苦になるほど酷くはないが、と言って積極的に購入したいという気にもならない。
これと似たようなコンセプトで、小説のアンソロジーができるのではないかなとちょっと考えた。確か山田風太郎は「高名な作家の駄作ばかりのアンソロジーを作ればいい」とエッセーか何かで書いていたような記憶がある。
そういえば三島由紀夫が子供の頃に書いた「我はいは蟻である」という珍品があって、これはちょうど「へたジャズ」の時代とぴったり入る1937(昭和12)年の作品なのであった。
執筆年月日/1937年(昭和12)
収録/『決定版三島由紀夫全集補巻』
あらすじ/生まれたばかりの働き蟻が主人公。初めて見る陽光の眩しさや人間の皮膚はすべすべして白く、人間の住む家はあまりに大きくて、主人公の視野にはおさまらない。それから、重いビスケットを運んだり、敵対する蟻の存在を老いた蟻に教わったりして、自分の家に帰る話。