つぎ足しつぎ足しで老舗の味

 

 

夕方のニュースの合間によく「知られざる下町の名店をご紹介」といった、半分ノンフィクションというかドキュメンタリー的なレポート、で半分は宣伝みたいなコーナーが入る。

これに焼き鳥の店が登場すると必ず「秘伝のタレ」を見せてくれて、寸胴の鍋に入れるものはというと……「それはカメラには映さないで!」という演出も含めて既視感しかない。

言うことも「つぎ足し、つぎ足しで、数十年も経っている」「火事になったらこれを持ち出さないと!」と決まっている。

ところで、私の知り合いは昭和56年製の車に乗り続けているので、よく考えたらこの車のガソリンタンクの中も、つぎ足しのつぎ足しで数十年も経っているのではないだろうか。

 

ガレージ・ゼロ ホワイトガソリン 4L [GZ404]

ガレージ・ゼロ ホワイトガソリン 4L [GZ404]

 

 

いや間違いなく、新車のピカピカのガソリンタンク内に昭和56年のガソリンが入ったことは確実で、内部がカラカラになることは一度もなく、つぎ足しにつぎ足しを重ねて、かれこれ三十年以上も経っているではないか。

その成分を検出すると「昭和56年のガソリン+57年のガソリン+58年のガソリン+(中略)+平成29年のガソリン」のようになっているのでは?

もちろん昭和56年のガソリンの成分は0.0000000001%くらいかも知れないが、老舗のいい味になっているかもしれないので、ちょっと舐めさせてほしい。


別の記事へジャンプ(ランダム)